美容鍼における出血・内出血について

何故、美容鍼で出血が起こるのか

毛細血管とは、全身の血管の90%以上にあたり、直径 約5~20㎛という細い血管のことです。全身をめぐる毛細血管は一本に繋げると地球2周半にも及び、それが全身に複雑に張り巡らされています。
肌の2層目にあたる真皮には、この毛細血管が密集しており、特に顔には多く分布しています。どんなに腕のいい鍼灸師でも毛細血管を完全に避けて刺鍼することは出来ません。美容鍼で使用する鍼は、通常の鍼治療で用いるものより細いのですが、皮膚の中に異物である鍼をいれる事に変わりはなく、出血は血管が鍼によって損傷することで発生します。
通常であれば傷がついてもすぐに多量の血液が漏れだすことはありませんが、血管の壁が脆い方や瘀血(東洋医学でいう流れが悪く淀んだ血液のこと)がある方は破れて出血しやすいです。(⇒詳細は『内出血が出来やすい人とは』参考)

内出血とは

通常の出血は肌の外に血が出ますが、血液が真皮や皮下組織に残ってしまう状態を皮下出血と言います。俗に言う内出血です。(以降、内出血と表記。)
毛細血管が損傷し出血を生じると、血腫の状態になります。通常は赤紫色ですが、皮膚表面に近いところの出血は赤みが強く、深いところの出血は青みを帯びた痣に見えます。これが俗に言う青あざです。漏れ出る血液の量にもよりますが、大きさとしては数㎜程度~広がることもあります。
その後、破れた血管は塞がり、時間が経つにつれ赤紫色の痣は褐色から橙黄色、淡黄色へと変化し、やがて薄くなって消えていきます。
内出血には動脈が傷つく場合と静脈が傷つく場合の2種類があります。
毛細血管は、一方で酸素や栄養分に富む動脈に連なり、他方で組織や器官の細胞から二酸化炭素や水分などを受け取る静脈に連なります。
動脈性の内出血の場合は、鍼を抜くとすぐに腫れてきます。施術中に気づくことが多いので、その場で手当てできます。しかし、もう一方の静脈性の場合は、鍼を抜いてから時間をかけて少しずつ出血します。痛みも感じないことがほとんどです。そのため、施術後数時間たって皮膚が腫れたり肌の色が変化したりして内出血に気づくことになります。

内出血は、数日~、長くても3週間ほどで消えることが多く、跡が残ることはありません。

治るまでの期間はその人の体調や体質、生活習慣などで異なりますが、病気などの治りにくい要因や内出血が起こりやすい体質でない場合、ほとんどの方は何もしなくても段々と色が薄くなり消えます。早い方で3~4日、長い方でも2~3週間ほどで消えます。
まれに、数週間経過しても、なかなか内出血が消えない方がいますが、その場合は医師の診断をお受け下さい。

内出血が出来た際の治し方

内出血がみられたら、指で軽く押さえたあと、血管を収縮させるために氷などで冷やします。揉むと内出血が広がってしまうため、揉まないようにして下さい。その後、色が薄くなり始めたら血管を拡張させ血流を促すためにホットタオルなどで温めると内出血の治るスピードが早まる傾向にあります。
治るまでの間、気になるようでしたらファンデーションやコンシーラーなどで簡単にカバーできますのでご活用ください。

内出血が治るまでの経過

写真のように、内出血は時間が経過するにつれて皮膚の表面に出てくるため、色が徐々に濃くなったように感じます。しかし、その後、血液は免疫細胞によって破壊されたのち吸収されて自然に消えていきます。

内出血画像

内出血が起こりやすい要因

病気(遺伝性疾患を含む)

血管形成に異常がある、血液凝固因子や血小板の数・働きが正常でない、などの場合は出血を起こしやすいです。出血を起こしやすい病気には様々なものがあります。

血管形成に異常がある、血液凝固因子や血小板の数・働きが正常でない、などの場合は出血を起こしやすいです。出血を起こしやすい病気には様々なものがあります。

例:血友病、エプスタイン症候群、紫斑病(単純性・血管性・アレルギー性・血小板減少性)、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、全身性エリテマトーデスなど

特定の薬を服用している

高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病、心臓病、脳卒中など病気の治療で抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる方は血液が固まりにくいため内出血が起こりやすく、消えるまでに時間がかかります。

加齢

年を重ねると、血管を保護しているコラーゲンや脂肪細胞が減少し、皮膚が薄くなります。また、血管も脆くなるため少しの衝撃や圧により傷がつき内出血を起こしやすいのです。

●胃腸の機能低下・東洋医学でいう「(脾胃の)固摂作用」の低下

無理なダイエットや偏食、疲労やストレスで胃腸に負担がかかっている方も血管が弱くなり内出血が起こりやすくなります。

行っている内出血の対策

内出血の原因の1つである、鍼の太さの影響を軽減するために、当院では0.1mmと0.12mmの鍼を使っています。鍼灸用の鍼のなかでも、特に細い鍼 です。しかし、もし施術中に痛みや違和感があれば、遠慮なくお申し出ください。